遠近 ochi-cochi

逍遥録

Kobe calling

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金盞花 kinsenka と、チューリップ

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橙色の花は視覚に差し出して来る勢いが他の色より断然強い。

うっかりすると色と輪郭しか感知出来ない時がある。

地面からの高さも判らなくなる。

空が曇ってないと、奥行きや質感さえ失われてしまう。

それでも晴れた日の橙色が好きだ。

愛すべき、膨張する橙色のチカラ。

 

駄菓子屋の安物の橙色の飴は口に入れると、

砂糖とサッカリンと、ワザトらしい果物の味。

未だかつてオレンジ味の飴の味がする柑橘系の果物を食べたことが無い。

トコロドコロ、強烈にに甘いトコロがある、そしてかすかに苦い。

 

舐めて唾液で光る飴を指でつまんで、空にかざして太陽に透かしてみると、

その斑のある濃い橙色に閉じ込められた太陽が見える。

子供の頃は肉眼で太陽を凝視して視線を逸らすと、

至る所に「紫色の毬藻が見える!」と喜んでいた。

そんな強烈馬鹿な少年が肉眼で見た太陽より、飴の中の太陽は燃えていた。

 

左目を硬く閉じて右目のまつ毛に引っ付くくらい飴を近づけると、

安物の飴だからこそ炭酸のようにキラキラ光る無数の気泡が見える。

すごくキレイだ!宇宙だ!この飴の中に入って中から外を観てみたい…

そう思った。  橙色萠チルドレン 。