今日も今日とて花逍遥
グバグバと音をたてて風に煽られる蓮の葉の合間に
蒲の穂を追い越し、すくと伸びた蓮華宝珠
重なり合った葉の下は薄暗くて、少しだけ気味が悪い
誰かがこちらの様子をうかがっているように感じてしまう
雨水が転がり滑り落ち、太鼓にバチを落したようにトルルルと鳴る
きらめく水晶のような水玉が、暗がりが奥深い事を教えてくれる
水を吸い上げる維管束の振動が水面を振るわせる
大きな蓮の葉は日光で急激に水がぬるむのを妨げている
梅雨の合間の薄曇り、日の出も朝焼けもない朝の空
湿気を帯びた水面の空気が肌にひんやり触れている
群生した蓮の葉こそが蓮池の風景
風に揺れてざわめいて、主役を食う存在感
それでも蓮華も負けてはいない
その色気と香気は静かに黒い水面を漂う
風が止まると異様な静寂
水面が黒い鉄のように硬く見える
そこに行ってみたくなるのは、蓮華に誘われているのか
それとも闇に引き込もうとしているのか
神々しく光を放ち、強烈な印象を差し出して来る
思わず合掌してしまいそうな、蓮華の妙