遠近 ochi-cochi

逍遥録

Kobe calling

今日も今日とて花逍遥

グバグバと音をたてて風に煽られる蓮の葉の合間に

蒲の穂を追い越し、すくと伸びた蓮華宝珠

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重なり合った葉の下は薄暗くて、少しだけ気味が悪い

誰かがこちらの様子をうかがっているように感じてしまう

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雨水が転がり滑り落ち、太鼓にバチを落したようにトルルルと鳴る

きらめく水晶のような水玉が、暗がりが奥深い事を教えてくれる

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水を吸い上げる維管束の振動が水面を振るわせる

大きな蓮の葉は日光で急激に水がぬるむのを妨げている

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梅雨の合間の薄曇り、日の出も朝焼けもない朝の空

湿気を帯びた水面の空気が肌にひんやり触れている

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群生した蓮の葉こそが蓮池の風景

風に揺れてざわめいて、主役を食う存在感

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それでも蓮華も負けてはいない

その色気と香気は静かに黒い水面を漂う

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風が止まると異様な静寂

水面が黒い鉄のように硬く見える

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そこに行ってみたくなるのは、蓮華に誘われているのか

それとも闇に引き込もうとしているのか

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神々しく光を放ち、強烈な印象を差し出して来る

思わず合掌してしまいそうな、蓮華の妙