遠近 ochi-cochi

逍遥録

Kobe calling

今日も今日とて花逍遥

今朝はぐんと寒くて・・明日から三月なのに・・

と思いながらコートを着て朝の散歩に出かける

霧が立ち込める早朝

八幡さまの手水は冷たいなんてもんじゃない

水ぬるむ・・なんて、まだまだだ

静けさを切り裂きながら走ってくる新聞配達の単車

ライトが膨張して彩雲のように怪しく光って去って行く

交差点を曲がって止まったようだ

エンジン音を叩くようにウインカーの音が聞こえる

下品な色の点滅信号がやたらと眩しくて気に触る

日の出前・・薄明に力を落とす公園の街灯を見ていて心細くなる

日が昇る方ばかり見ていて視界が眩惑されて歩けなくなった

立ち止まると・・朝日を探すのはボクだけではなかった

花壇の水仙が朝の空気に香りを放ちながらキョロキョロお日様を探している

お前はお日様と同じ色をしているね・・というと

水仙はちょっと誇らし気に胸を張ってみせる

すると・・どこからともなく声が聞こえてきた

おいおい何を言ってるんだい!お日様色ならこの僕を見てくれよ

振り返ると金柑の実がボクたちを見下ろして威張っていた

一瞬辺りが明るくなったと思うと頬に温もりを感じた・・日の出だ

ボクは何も言わなくなった水仙と金柑の実とを交互に見て

そしてチラっと街灯が消えているのを確認して公園を後にした

帰り道・・どこからともなく梅の花の香りがする

香りをたどって路地を入ると手作りの盆台に盆梅が数鉢並んでいる

さほど高価な物ではなさそうだけれど見事に咲かせている

見た目は素朴だが大切に丁寧に育てているのがわかる仕立てだった

いい路地を見つけたと嬉しくなった

お腹の中が温かくなった

花はいつもどこからともなく自分の居場所を知らせてくる・・

そんな気がする

 

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